初心者レンアイ(仮)
散々歌って、私達はカラオケを出た。
「喉痛い〜!」
千夏ちゃんは喉を押さえながら言った。
「千夏ちゃん歌い過ぎだよ。」
そんな千夏ちゃんにのど飴を渡す。
「ありがと〜、流石紗枝!」
千夏ちゃんはそういって受け取った飴を口に入れた。
ケータイを開くと、既に6時を回っていた。
「俺、こっちやけん。」
広川くんが指した方向は、私達三人とは別方向だった。
「ほな、またな〜!」
そういって広川くんはすたすたと歩き出した。
あ…
そんな広川くん…広川に向かって私は叫んだ。
「…広川っ!!」
広川がこっちを向く。
「また、ね。」
すると広川は左手を挙げて大きく振り、笑った。
そして私は、その笑顔に何故かまた、鼓動が跳ねたのを感じていた。