初心者レンアイ(仮)
「あ、ああ…中山か。どないしたん、こんなところで。女が出歩く時間ちゃうで。」
無理に微笑したおもむきで、広川は言った。
「ど、どうしたって、ここ私の家の近くだもん。それにしても、広川こそどうしたの?」
隣のブランコに腰掛ける。
「話なら…聞くけど。借りがあるもんね。」
照れ隠しにそっぽを向いていると、広川が淡々と話始めた。
「今日さ、両親が離婚したんだ。」
え…
予想以上の話に驚く。
広川…標準語だ。
「前さ、ファミレス行った時言っただろ。親の都合で引っ越して来たって。」
私は頷く。
「その理由っていうのが、親の別居。俺は母さんの方に付いてきたんだ。それで今日、正式に離婚したってわけ。」
少しの沈黙が流れる。
「…また、家族で暮らせるんじゃないかなって思ってたんだよ。馬鹿だよな、俺。しかも、こんな事で泣くなんてさ。情けねぇ…。」
広川はうつむいた。
「情けなくなんて無いよ。」
私は小さく呟いた。