初心者レンアイ(仮)
そして、放課後のこと。
私は学級委員長だった。勿論、先生に推薦されて。
「これ、どうしたらいいん?」
なまりの強い声が聞こえた。
黒い柔らかめの髪が目に入る。
副委員長の、広川柊くんだ。
今日は、委員会最初の仕事。広川くんと一緒に仕事をするのは初めてだ。
「えっと…そこに置いてて。」
入学してから数ヶ月経った今も、あまり広川くんと話した事が無かった為、私はためらいがちに言った。
広川くんは元々立候補したわけでも推薦されたわけでもなく、じゃんけんで負けて副委員長になったわけだが、仕事をこなすのが私より早かった。
「了解〜。」
彼は指示されたところにプリントを置いた。
すると彼は私の持つプリントを見て言った。
「委員長、それ全部できんやろ?手伝ってやろっか。」
差し出される手に、戸惑いながらも半分のプリントを渡す。
「…出来ない訳では無いけど、お願いします。」
広川くんの顔を直視出来ない私は、視線をやや伏せて言った。
「委員長って、案外ツンデレやね。」
「え?」
(ツンデレ?)
聞いたこと無い単語に、思わず声を漏らす。
「ん?どないした?」
「ううん、別に何でも…。」
聞き返すのはプライドというか…何だか恥ずかしく感じ、後で調べてみようと私は思った。