初心者レンアイ(仮)
そうだよね…。
あんなに女の子に人気あるのに、わざわざ私を好きになるわけ無いよね。
横目で広川を見る。
――本当は、ちょっぴり期待してた。
私をクラスメイトと仲良くさせようとしてくれたり、私の意地っ張りな性格を受け入れてくれたり…
それは、全部広川が優しいから。
だから、広川のこと好きな女の子が沢山いるんだよね。
私が机で落ち込んでいると、誰かが声をかけてきた。
「どうしたの、中山さん。」
顔を上げると、そこには筒井くんがいた。
「筒井くん…。」
「なんか、つらそうだね。話なら聞くよ。」
筒井くんは優しく微笑んできた。
筒井くんのことはよく知らなかったんだけど、誰かに悩みを打ち明けたかったのかもしれない。
その微笑みに触発され、私は筒井くんと屋上に行った。
二人で屋上に行く様子を、広川が見ていたことに私は気づいていなかった。