初心者レンアイ(仮)
「紗枝。」
聞こえた声。
柊だった。
「一緒帰ろう。」
相変わらずの柔らかい笑顔に、私の胸はキュンとした。
後ろで千夏ちゃんはニヤニヤしてる。
恥ずかしかったけど、私はうんと呟いた。
「いや〜まさか俺、紗枝と付き合うことになるとか思ってもみなかったよ。」
突然、広川が言った。
まあ分かるけど…普通彼女の前で言う?
「本当の事言うと、逆に近寄りがたい感じしてたし。でも話してみて、逆に素直じゃないところとか可愛いなって思った。」
私はだんだん恥ずかしくなって、話題をそらそうとする。
「そ、そういえば柊。前関西弁の方が楽って言ってたよね?私の前では無理して標準語使わないで、関西弁で話してももいいよ?」
あまりにも唐突過ぎたかな…?
チラッと柊を見ると、クスクスと笑ってた。
「いいんだよ。確かに関西弁の方が使いやすいけど、もう紗枝の前では使わないって決めたんだ。…なんでか分かる?」
私は首を横に振った。