初心者レンアイ(仮)
「一番、ショート石田君。」
アナウンスによって打席に立ったのは、先ほど初めて話した石田先輩。
カァン!
速球を簡単に打ち、あっさりと一塁へ。
その後、打ち取られたり三振をして四番へと打順が回ってきた。
「四番、キャッチャー広川君。」
ついに、柊が打席に立った。
真剣な眼差し。
真っ直ぐに、相手ピッチャーだけを見据えてる。
「ストライーク!」
審判が叫ぶ。
ボール球も見送りながら、ついには追い込まれてしまった。
手はいつの間にか汗でグッショリ。
その手を、ギュと握りあわせる。
「頑張って、柊!!」
自分でも驚くような声が出た。
その瞬間、響いた金属音。
白球が、空に向かって綺麗な弧を描く。
同時に聞こえた大きな歓声。
ホームランだ。