【S・S集】25時〜溢れた時間〜
あれは一年前。事故で死んだ兄貴の葬式での出来事が、始まりだった。
……線香の香りが充満する部屋。お坊さんのお経が響く。喪服を着た人達が、次々とお焼香を済ませる。
私は、義姉さんの横に座り、弔問客に一人一人深々と頭を下げる。
異変に気付いたのは、ちょうどお坊さんが、兄貴の戒名を読み上げる時に咳き込んだからだ。
お坊さんの方を、チラッと横目に見たら、義姉さんが微かに笑みを浮かべていた。
視線を手元に戻す。見間違えかと思い、気付かれぬようにもう一度見る。
もう、微笑んではいなかった。
お坊さんはお経を続けたが、良く聞き取れない。前々からおかしいと思っていたが、葬式が終わる頃には私の中の疑惑は確信に変わっていた。
そして、今日は兄貴の一周忌。
……線香の香りが充満する部屋。お坊さんのお経が響く。喪服を着た人達が、次々とお焼香を済ませる。
私は、義姉さんの横に座り、弔問客に一人一人深々と頭を下げる。
異変に気付いたのは、ちょうどお坊さんが、兄貴の戒名を読み上げる時に咳き込んだからだ。
お坊さんの方を、チラッと横目に見たら、義姉さんが微かに笑みを浮かべていた。
視線を手元に戻す。見間違えかと思い、気付かれぬようにもう一度見る。
もう、微笑んではいなかった。
お坊さんはお経を続けたが、良く聞き取れない。前々からおかしいと思っていたが、葬式が終わる頃には私の中の疑惑は確信に変わっていた。
そして、今日は兄貴の一周忌。