闇華
ぱちり、目を開けると目の前が真っ赤に染まった。
血、だ。
あたしの目が赤いんじゃないの。
あたしの目の前にあった人だったモノが―…
コロサレタのだ。
ぐわんぐわん、地面が揺れる。
自分が揺れてるんじゃなくて、揺らされているのだ。
「姫様。早く、殺してください。あなた様の両親の仇ですぞ。」
分かったから。
揺らさないで。
只でさえ状況が把握出来ていないのに、頭が割れるように痛いのに。
ハウィスがあたしの手に鋭く光る剣を握らせる。
「……っ、うぁ…」
腕を切り落とされ…足を切り落とされた男、らしきものが呻き声をあげる。
い、や…
もう、いいじゃない。
あんなに、苦しそうに…
「――…だめだよ?そんなんじゃ、闇になんかなれない。」
耳元で誰かが囁く。
その相手が誰かってことくらい、頭の中では理解していた。
そして、その言葉の意味も―…。