闇華
「あ」
星が綺麗だなぁ、と上を向く。
うん、綺麗。
あ、流れ星。
「お兄ちゃんを助けてください。お兄ちゃんを助けてください。お兄ちゃんを助けてください。」
あたしが喋ったんじゃない。
あそこにいる、小さい女の子が流れ星に願い事をしているんだ。
「かわいーこと。」
あたしは女の子にそっと近づく。
女の子は飛んでいるあたしにびくりとしたけど、何をどう思ったのか顔を明るくした。
「わたし、メロナってゆうの。あなたはだぁれ?どぉして、飛べるの?まさか、魔女?!病気なんでも治せる?!」
あたしが、魔女?
まさかぁ、あたしは闇。君とは真逆の存在だよ。
「魔女ではないねぇ。魔女だったら今頃君を食べちゃってるよ?クス…あ、あたしの名前はアルミス。君のお兄ちゃんは病気なの?」
ああ、あたしはまた…残酷なことを。
今からこの子に言うことは最悪なものだ。
まあ、あたしには関係ないことだけれど。
「魔女じゃないの?残念。アルミスさん?……お兄ちゃん、不治の病なの。」
ほー、不治の病か。
治らないのか、もう。
「…ねぇ、お兄ちゃんのためだったら…なんでも出来る?」
え?と女の子はキラキラと目を輝かさせる。
期待、に溢れている女の子の顔は…まるで天使のよう。
そんな天使のような君に、こんな言葉をあげよう。
「じゃあ、あなたが死んでみる?」