闇華
本来、在るはずのない角らしきものが手に触れた。
額に小さいけれどしっかりと2つが存在を示していた。
「な、なんで…」
俺は驚き過ぎて声も出なかった。
メロナは、『あっち側』の人間になった…?
どくん、と何かを拒絶するように血がぐるぐると体を巡る。自然と、無意識に…いや、反射的に俺はメロナから離れた。
草原に落ちるメロナ。
その衝撃に「ん」と声をあげ、体を起こす。
俺の中で、拒絶する。
あんなに大切だったメロナを。
メロナが目を開ける刹那、俺は息を止めた。
―――…赤い。
どこかで期待していたのかもしれない。メロナは、俺の妹は、『あっち側』の人間なんかになっていないって。
きっと、気のせいだって。
だけど、メロナの瞳は、
赤かった。