闇華
薄暗い世界の中にポツンと、どす黒い屋敷が今、あたしたちの目の前に。
檻すら赤黒い。絵に描いたような地獄。
いかにも、魔王が住んでいそうな場所だ。いや、吸血鬼でもいいかもしれない。
「…うわぁ…」
隣から驚きにも似た声が聞こえてきて、苦笑する。
「アルミスさんのお家?」
………え。
「いや、こんなのあたしの趣味じゃあないよー。いかにもって感じじゃん。でかいし。」
小さいとゆうか中くらい?の方が好きだよ、あたしは。
カアカアカア、とカラスが門の前にいるあたしたちを値踏みするかのように赤い瞳で鋭く見てくる。
カラスはあまり好かない、うるさいだけ。
「じゃあ…ここって、なんですか?」
「カアカアカア!…『よいぞ、入れ…アルミスよ。』」
カラスから声が聞こえてきたかと思うと門がギリギリと音を立てながら開いた。
今の声はボス。人間の世界を愛し、憎む人。
「カラスが、しゃべった。」
隣でまたもや驚いている声を聞きながら門へと足を踏み入れた。