闇華
すぅっと息を吸い込んで、地面を蹴る。
あたしはくるくると円を描きながら空中を回り、コンクリートの上に降り立った。
「んーっやっぱ空気が不味いねぇ。」
やはり光の世界の空気はあたしにはあわない。闇の空気の方がまだマシだね。
キョロキョロと辺りを見渡す。
さあて、今宵はどんな悪を働こうかなあ…なーんて。
どこかの高貴なオヒメサマなんかを攫ってこようかなあ?
んで、どこぞのオージサマが助けにくると。
そろそろ悪事を働くためのネタも尽きるってーの。
まあ、やることもないし?今日はあの辺にいるオヒメサマでも攫ってやろーかしらぁ。
こんな夜にこのオヒメサマはなぁにをしてるんだか。
闇に攫われて戻れなくなるぞー。
現にあたしが攫うけどね…?
足音をたてずにオヒメサマの背後に近づく。
ん?あの髪飾りは緑の国のオヒメサマかなぁ?