闇華



メロンside



「行っちゃた…」


「おい、チビ。」


後ろから低い声が聞こえてきて顔をひきつらせる。
さっき、アルミスさんが家から出て行って残されたのはわたしとよくわからない男の人。


「おい、しかとしてんじゃねーよ。」


すごく怖い。殺気立ってるんじゃないかってくらいに。
殺されたら嫌だから、渋々後ろを向く。



「チビ、明日からすぐ‘ある場所’に行く。ぜってぇ泣いて帰ってくんじゃねーぞ。アルミスの顔に泥塗るようなことはすんな。」


……この人、アルミスさんのこと心配してるの?


わたしの視線に眉を寄せる男の人。
「なんだよ」って口に出していなくても、顔に出ている男の人。そういえば、名前はなんて言うんだろう?



「言いたいことあるなら言えよ。百面相チビ」



く、口が悪い。


「な、名前なんて言うんですか…?」


わたしは少し躊躇いがちに男の人に聞く。すると男の人はにやり、と笑って得意気に答えてくれた。



「アルビス、」


「え?アルミスさんと似てますね…?兄弟…?」


わたしがそう聞くと、得意気で嬉しそうだった顔が苛立ちに変わった。
何か、まずいこと言ったかな?


「兄弟じゃねーよ。てか、お前は寝ろ。明日に備えて、な?」


話をはぐらかすようにアルビスさんはどこかの部屋に入っていった。



わたしもソファーから立ち上がると、今日からわたしの部屋になる場所に向かった。


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