闇華
わたしは、喋ってない。
だから口も開いてないし、声が聞こえるはずもない。
第一、いま聞こえた声はわたしの声と少し違う。
それは周りから聞こえている声と自分で聞こえる声が違うからかもしれない。
じゃあ、だれ?
「こんばんは、」
うわっ!また私の口が勝手に!こわい、こわい、こわ―…
「わたしはあなたです。」
やめて
あなたはわたしじゃない。
「いいえ、あなたはわたしです。」
違う!わたしはそんな―…血まみれじゃないし、鎌なんて持ってない!
湖に映るわたしの顔は血まみれで、隣には鎌があった。
「これはあなたがやったことです。あなたはたくさんの人を殺しました。」
殺してない!あなたはなにをゆってるの?私がそんなことする訳ないじゃない!
「こわい、こわい、」
――あ、これが‘恐怖’か。