闇華
闇
「―…」
「どうかしましたか?アルミス様。」
「うん?そうだね。メロンが心配でねぇ。」
ヴィスは名も知らない男の胸から細い針のような剣を抜くと、何食わぬ顔であたしを見てきた。あたしの答えに首を傾げる。
「メロン?ああ、あの屋敷に一緒にいらしていた少女ですか…確か、儀式をなさるとか。それが心配だと?」
ヴィスは顔についていた血を拭う。
「んー、まあそんな感じ。違う性格で帰ってきたらえーってなるもん。」
「まさか、アルミス様…儀式の内容を知っているのですか…?」
いやいや、知ってるわけないじゃん。とゆうか知ってたら軽く大罪もんだしねー。
「ヴィスはどうだった?儀式したとき。やっぱり覚えてない?」
「覚えていませんよ。覚えてたとしても、いえません。大罪になりますからね。」
あたしたちのいる世界で‘大罪’なんて言葉は似合わない。もうすでにあたしたちは罪を犯し続けているから。
「……てゆうか、ヴィスって案外強いんだねえ。ひょろそうだから弱いかと思ってたよ。」
あたしがそう言えば、ヴィスは「はは」と笑った。その笑いはやはりどこか気持ちが悪くて、興味がわいた。
「もっと見せてよ、ヴィスの中身を。」
君に興味がわいた。ミステリアスな男程、おもしろいものはないよ。
君は一体その細い体の中に何を隠している?