闇華
「―…ヴィス様。」
あれからあたしとヴィスは森の中を歩いていた。あたしはというとふんふん、と鼻歌を歌いながらスキップ。
そんなところに気配を消す誰かが1人あたしたちの前に現れた。ヴィスの部下?
暗闇から黒ずくめの男がスッと出てきてあたしたちにお辞儀をする。なんて律儀な。
「なんだ。」
ヴィスが低い声で話す。そんな声も出せるのかぁ。
黒ずくめの男もそんなヴィスには怯えず鈴とした声を出す。
「敵の仮のアジトが見つかりました。」
「へぇ、案外早いねぇ。ヴィスの部下は優秀だ。」
「いえ、それよりも。場所が場所なのです。」
場所が場所?
「どういうことだ?」
黒ずくめの男はフードの中でふぅ、と息を吐き出すとアジトの場所をはいた。
「奴らはどうやら、南の国の城に身をおいているようで。」