闇華








「あ、あのアルミスさん。」



「んー?」



スタスタと歩くあたしに、テケテケと歩く少女。
名はカーノと言うらしく、あたしが思った通り緑の国のオヒメサマらしい。



この子、あたしに付いて来るっていう意味を理解しているのかなあ。



口をパクパクさせるカーノは見ていて面白い。
まるであれだねぇ、魚みたいだ。



「私はこれからどこへ行くのでしょうか?」



「そんなの、あたしに話しかけた時点で分かり切ってるじゃん?」



まあさか、知らないなんて事はないよねぇ?
あたしは忠告したじゃないの。アルミスだって、死に神だって。



「……ええ、闇に連れて行くのでしょう?」



何を言ってるのかなあ、この子は。
闇に連れて行く?無理じゃないけど、並大抵の奴らじゃ無理だねぇ。



「…キミ、今の状態で人殺したり騙したり傷つけたり出来るの?」



あたしがそれを言うと、カーノは少しばかり黙った。
ほらみろ、すぐに返事が出来ない。



当たり前だ。
キミは生まれが光だから。








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