闇華
魔法神とはまた違った円陣がわたしの周りを囲う。それは黒く荒んだ色をしていた。
わたしは光の時はなんの力も持たないただの女の子だった。お兄ちゃんの病気も治せない、弱い女の子。
だけどね、‘この力’はわたしを強くしたの!もう、弱くない。怖くないの!
「我に力を与えよ 対なる者よ」
目を閉じる。閉じればそこにはもう一人のわたしがいた。ニヤリ、と笑ってわたしの頭に手をかざす。
――…ソナタの望む場所へ
プツン、と糸が切れたように目の前が暗くなった。
と、次の瞬間。
「ああ、アルミス様。そんな所にいらっしゃるのですね!」
灼熱の太陽が空から降り注ぐ場所にきていた。
何メートルあるかも分からない城壁がわたしを待ちかまえる。
ああ、あつい。光が、いたい。早く、早く闇へ。一刻も早くアルミス様の所へ。
もう一度力を使って、今度は城壁の中へと向かった。
キラキラと輝く太陽は城壁をじわじわと焼いていく。