闇華
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街がいつになく騒がしい。祭りのような騒がしさじゃない。何か、悪いことが起こるような前触れのように感じる。やはり、あの子が言うことが本当なのだろうか?
怖い、この光が一番強い国に闇が紛れ込んでくるなんて。
ザワザワザワザワ、
街を歩きながらフードを深く被る。胸元にあるネックレスが揺れる。大丈夫、あたしにはルウがいる。あたしには力強い仲間がいるんだから。
人混みを抜けながら口の端と端を固く結ぶ。前をしっかり見ていなかったせいか、誰かにぶつかってしまった。
「あ、すいません。大丈夫ですか?」
ぶつかった人はあたしが差し出した手を握り、起きあがる。
フードの中から見えた瞳にゾクッとした。
あたしの中の何かが、警報を鳴らす。この人はだめ。危ない。逃げなくちゃ。
フードの人は無表情。
こわい、こわい、こわい
「どうも、ありがとう。お姫様」
次の瞬間、強い圧迫感があたしを襲った。
助けて、ルウ。