闇華



―…


なんとか城の前までくると、誰の力か分からないけれどゆっくりと城門が開いていった。


すると、灰色だった世界が嘘だったかのように色づいていった。


城内は活気に溢れていた。
いつもは緊迫した空気が漂っているのに、どうしたものか。



「カーノ姫!今までどこに行っておられたのですか!」



そんな声が聞こえて振り返るとあたしと一番仲の良いハウィスがいた。
父には側近として雇われたそうだけれど、小さい頃からあたしの面倒を見てくれていたからか、あたしのお目付役になった。


「えっと…。」



なんと説明したら良いものか。狭間にいた、なんて言ったならどんな刑に処されるか分からない。
ん?狭間にいた…?違う…今もいるのだ。狭間に。



そう思ったら怖くなった。
このハウィスは誰なのだろう、とか。
この活気づいた城内は、どこなのだろうかとか。



ぐるぐるぐるぐる頭の中が回る。



気持ちが悪い。



ここは何。







「ここは、君が望む世界。」




そんな声が聞こえてあたしは意識を失った。








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