‐hide‐ハイド

「…やだよっ!琳!!」


「…ごめんっっ」





必死に私を掴む手を払って、その場を走りさる。


涙でよく見えない道を走り続ける。



ごめん、

ごめん…


ごめんね…。



大好きだよ。


どうか、幸せになって。



さようなら。



当てもなく走り続け、いつの間にか崖にたどり着いた。




足がガクガク震えて、立っていられなくなり、その場にすわりこむ。



そして、大声で泣いた。




涙が枯れてしまえばいい…。



静かな海に私の泣き声が響いていた。


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