片思いの空
いつもなら嬉しいんだけどなあ…



「ねぇ…さや」


お母さんの心配そうな声



「学校で何かあったんでしょ?」




「えっ…別に…」


しどろもどろな返事になってしまった



特別何かあったわけじゃないんだけど



でも心が落ち着かない




「さや?なんでもいいから言ってみなさい」



お母さん…



「あのね…」



そう言って今日あったことを話し出した



「ーーそれから、優介君と離れてから胸がきゅうってなるんだ…」



それを聞いてお母さんはクスクス笑い始めた



笑われるとなんか恥ずかしい…



「おっ…お母さん…?」


そろっとお母さんを見つめる



「あんたそれ…」



「うん?」



「恋しちゃったのよ」



恋…






「えぇっ!?」



「あはははっ、ほんとにお父さんに似て鈍感なんだから〜」


恋なんて…

恋なんて考えただけでくらくらする



でもなんだか否定できない


「さっ…冷めちゃ前に食べるよ」



そう言ってわたしとお母さんは食べはじめた
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