片思いの空
グイッ


誰かに腕を掴まれた



倒れる寸前だった





「田代さん…?」



聞き覚えのある声
それにその呼び方っ



「優介君っ!?」



わたし顔赤くなってないかなぁ…




「大丈夫だった?」


そう言って起こしてくれた
やっぱり優しいね



何あの子…
優介君の何?
うざくない?



女の子達の鋭い視線が突き刺さる



「うん、迷惑かけちゃってごめんね…バイバイ!!」


目を合わせないようにして教室に駆け込む




悔しい
せっかく会えたのに




"おはよう"も言えなかった


「さや…」


「純ちゃん…」



「さやは頑張ったよ」


そう言って純ちゃんは頭を軽く叩いた




朝のことが頭から離れない



授業もただただボーッとしているだけ



また胸が締め付けられておかしくなりそう




何もしていない一日が終わった




「さやほんとにいいの?」

「うん、待たせるの悪いし…早くしないと電車乗り遅れちゃうよ」



心配そうな純ちゃん



なんかごめんね…
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