片思いの空
「そっか、また明日!!」

何かを悟ったかのように元気よく手を振ってくれた



そしてわたしは出し忘れた数学のノートを出しに行く




ガラガラッ



「失礼します」



いつも職員室はコーヒーの香りがする



「先生、ノート出し忘れちゃって…」



「あぁ、そこに置いといて…それより良いところに来たな」


にやりと笑った先生



嫌な予感




「このプリントとこのプリントを重ねて閉じる、よろしくな」


「はい」


最悪だぁ
まさかこんなところで捕まるなんてさっ



パチンッパチンッ




でもこうしていると
嫌なこと何もかも忘れられる気がした




「おっ!!ご苦労さん」



そう言って先生は満足そうに笑った


外へ出ると
辺りは薄暗くなっていた


校門を出たところで思わず足を止めた



「田代さん!!」



向こうも気づいたみたい



嬉しいような悲しいような…
ハッキリしない感情が渦をまく



「優介君、何してるの?」


不自然にならないように…

自然に自然に…


そう心の中で唱えた
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