片思いの空
返事しなくちゃいけないのに…



顔があげられない




何より…
ダメだってわかっていても返事をしたくない



今返事をしたらこの恋を、この想いを殺さないといけない

そう思うから




わたしはずっと俯いたまま口を閉ざしていた




「田代さん?」



優介君の心配そうな声


そして大きな手がわたしの手にそっと触れた




「!?」




反射的に顔をあげてしまった





「具合でも悪い?」




夕日に照らされた優介君はとても綺麗で

瞬きすら忘れてしまう



悲しそうな表情さえ
好きだと思ってしまう




「うん、少しだけ」



嘘ついちゃった



「亜美、もう行くから」




「えっ…いいよ、わたし和馬と帰るから

ゆっくりして行って」





「ダメ、具合悪いのにほっとけない」




いつになく真剣な表情



亜美さんはしばらく
わたしの顔を見つめていた


「分かった…またね」



亜美さんはそう言うとすぐに来た道を歩き始めた



「いいのかよ?」


不機嫌丸出しの和馬の声
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