心の隙間風
予報通りの天気の水曜日。
私は言われた通りに荷物をまとめては居なかった。
お母さんが一報してくれたし、もし迎えに来ても鼻先でドアを閉める気満々であった。というかドアを開けもしない予定だ。
そんな一抹の不安以外はとても輝いていた。苦手な数学でさえも。
そんな水曜日の放課後。
月曜日と水曜日に行われる掃除は名前順で場所が決まる。
ちょうど掃除の班の切れ目であった私と寺内君は教室掃除の雑用であるゴミ出しを命じられた。
教室には燃えるゴミの他にペットボトルや缶のゴミもあり、相当大変そうだった。
だが、荷物さえ持って行けばそのまま帰ってもいいので楽と言えば楽だ。
私は鞄を肩に掛けてから、箱から袋を取り出し袋上部を結ぶ。それを三回繰り返して漸く下準備が終わる。
「これ、全部俺が持ってくよ」
「え?」
「だって、全部やってくれたんだろ?」
そう言って寺内君は袋を指差す。
「そうだけど…それは申し訳ないよ」
「じゃ、俺がこれとそれ持つから長野はこれ持って」
そう言われ手渡されたペットボトルの入った袋はとても軽かった。
申し訳ないと思うが、好意は有り難く受け取っておく。
「いいの?大丈夫?」
「俺はへっちゃらだよ」
そう笑う寺内君の笑顔は素敵で、眩しくて。私とは全然違うんだと、思い知らされた。