First love~awaikoi~
と、私は言った。

「部活があって」

そう言ってから、ハッとした。

またうそをつこうとしている。

私のバカ!

「そうじゃないんです。あなたのこと、

待ってたんです」

私は急いで言った。

「僕を?」

「あの―――この前のお礼が言いたくて」

私は、顔を上げた。―――もう少しで、

私の降りるバス停。

その人は手を伸ばして、ボタンを押した。

「降りるんだろ?」

「はい。でも・・・・・・」

「僕も降りよう」

と、笑顔で立ち上がる。

私は幸せだった。―――幸せ、というのは、

一緒に同じバス停で降りるだけでも、

感じることができるんだ。

―――風もない、静かな夜だった。

「すみません」

歩きながら、私は言った。「本当はもう一つ

先で・・・・・・」

「前にも言っただろう。どっちで降りても

同じなんだよ」

私は、この道が無限に長ければいい、と

思った。

「私のこと・・・・・・うそつきだと

思ってるんでしょ?」

「うそつき?」

その人は、本当に驚いたって感じだった。

「どうして?」

「傘のこと・・・・・・。

私、とられたなんて―――」

「あー」

と、うなづいて、「そんなこと、

誰だって言うじゃ


< 12 / 21 >

この作品をシェア

pagetop