First love~awaikoi~
の細い体を、凍えさせた。
駅を出て、バスに乗るまで、五分ほど歩く。
この駅で一緒に降りる友達はいなかったし、
もう高校3年生の冬。
みんな進学や就職の事で忙しい。
「家まで送ってあげるよ」
とは言ってくれなかった。
それでも、バス停までは、
銀行とかスーパーとかの軒先を、まるで
忍者のようにすばやく走るように伝って
歩いて、あまりすごくぬれないですんだ。
バスを降りて―――少し小降りになってるかも
という期待は、すぐに消えて、雨は
さっきの倍の勢いで、降り続いていた。
新興住宅地が多いこの道では、雨宿り
するコンビニや、雨を避ける軒先がない。
あきらめて、雨に打たれて歩き出すしかなかった。
一緒に降りたどこかのおばさんは、私と
同じ方向へ歩き出したが、買い物してきた物が
ぬれないかと心配で、小柄な高校生の女の子のこと
など、目にも入らない様子。
―――今、そのおばさんとも道が分かれて、私
は、横断歩道で信号が変わるのを待っていた。
車なんか全然来る気配がないから赤信号だって
パッって渡ればいいけど、どうせここまで
ぬれたら同じ、と思っていた。
信号をきちんと守ろう。
馬鹿正直に。―――馬鹿。私は馬鹿。
風邪でもひいたら、どうするの?
構うもんか。娘が風邪で熱出して、肺炎にでも
なったら・・・・・・いや、それでも、きっと
お父さんとお母さんは喧嘩しているだろう。
もし―――もし、私が死んでしまったら、