桜色を覚えた絵
説明ができないからうまく伝える自信はないが、今思うままで記憶のシャッターを押すなら、
結衣はこう記録するつもりだ。
洋平と居る広場は不思議で、桜の絨毯に立っている自分たちは高い山だから空しか見えないせいで、なんだか空の中に浮かんでいるみたいで、
強い風が贅沢に桜吹雪を起こすから視界が花びらで埋まっていて、
なんだか桜と一緒に空で踊っているみたいになる。
洋平と二人、桜の中でワルツを踊っているようになる。
だってショッピングビルや車や看板なんてなくて、瞳には桜たちと空と好きな人しか映らない今は夢の世界でしかない。
確かに地面を踏んでいるのに、花びらたちが自分たちを浮かばせてくれる。