風神I
「…い……ら。おい!…佐倉大丈夫か?…」
「………っ!!大丈夫ってなにが?」
「お前さっきから上の空だったけど、気分でも悪いのか?」
少しスリップしてしまったらしい。
「大丈夫だって、少し考えごとしてただけだから。」
「ならいいんだが。」
そのとき、ちょうど何かの建物が見えてきた。
「ほら、体育館が見えたぞ。」
「体育館に向かってたんだ。」
「どこに向かってると思ったんだよ。さっさと並んでこい。それとお前のクラス1-1だからな。」
「はいはい。道案内ありがとさん。」
あたしは大五郎な手を振り生徒の中へ入っていった。
後ろにいる大五郎がにやけた顏で、
「あいつら、佐倉のこと気に入るだろうな。」
そんなことを呟いていたなんてあたしには知るよしもなかった。