風神I
馨は風雅の顏わ見ながらニヤニヤと笑っている。
なにが面白いのかわからないがとりあえずこの手を離してもらいたい。
「馨、手が邪魔。早くどけて。」
「いいじゃん、俺らの仲なんだし。」
語尾にハァトがつきそうな勢いで馨が言った。
どんな仲だよ。
別に特別仲良しなわけじゃないし。会うのだってこれが二回目だし。
「馨、そろそろ…」
空良が顏をひきつらせながら言ってきた。そのとき、
「おい、馨。」
低くて恐ろしい声が聞こえてきた。
声がした方に顏を向けると…
不機嫌MAXの風雅がこっちを睨んでいた。
いや、正確には馨を睨んでいた。