風神I
「冗談だよ。」
馨はそう言ってあたしから手を離し降参というふうに両手をあげた。
「俺が真城に手ぇ出すわけないだろ、俺らの姫様なんだし。」
馨は余っている一人用のソファに座りながら言った。
「じゃぁ、どういう関係なの?」
力が不思議そうに聞いてきた。
「俺がこの前倉庫にくるときに偶然真城とぶつかったんだよ。」
「へぇ、そうだったんだ。」
空良は納得したように言った。
「あの時、もう暗いから送ってくっつたら真城スッゲェ速さで逃げてったんだぜ。」
猿みたいだったなと言って馨は笑った。
失礼なやつだ。