風神I
あたしの部屋はマンションの一番上の階だった。
手すりから下を見下ろすと、マンションの前に見慣れた高級車。
あたしは急いでエレベーターで車へ向かった。
走って車へ乗り込む。
「遅せぇ。」
乗り込んだ瞬間、風雅の低い声が聞こえた。
「ゴメン。目覚ましが壊れてた。」
あたしはてきとうに嘘をついた。
目覚ましなってたのに起きませんでしたとか言ったら風雅に殺されそう。
「秀平(シュウヘイ)さんもスイマセンでした。」
あたしは坊主でサングラスの運転手、秀平さんに頭を下げた。
「いえ、俺は全然平気っすよ」