風神I
女は少し考えた顏をして口を開いく。
「でもあのこ珍しく黒髪だったわね、あたしこの学校で黒髪なんて一人しか見たことないわ。」
「そーいやそーだな。俺も一人しか知らねぇ。」
そう言うと、五人の視線は一人の男へ注がれる。
視線の先にはさっきから横になり寝ている男。
真っ黒な髪をして恐ろしく整った顏をした男は自分に集まる視線で目を覚ましたらしく、不機嫌な顏で五人を見渡した。
「……………なんだよ。」
男は綺麗なテノールボイスで呟く。
そんな中、トランプをしていた男が口を開いた。
「いや別に、ただお前と一緒の黒髪をした女が入学してきたから珍しいなと思ってただけ。」
「…黒髪の女?」
不機嫌だった男の眉がピクっと動いた。