風神I
「少しずつでいいからさ。」
あたしの言葉に紫音が微笑んだ。
「それより、さっき何か言いかけなかった?」
「あ、あぁ」
あたしが言うと紫音は思い出したように言った。
「さっきなんか元気なかったからなにかあったのかと思って。」
紫音は意外と鋭いらしい。
「そうか?真城はいつも無表情だからわかんねぇよ。」
氷真は確かめるようにあたしの顔を見てきた。
無表情でわるかったな。元々あんまり感情を出すのが得意じゃないんだよ。
「キモい。見るな。」
あたしは氷真の顔を手で押し退けた。
「キモいってひでぇなおい。」
氷真は拗ねたような顔をした。
よけいにキモくなってしまった。