風神I
氷真の指先をたどっていくと床には血の後が一滴残っていた。
「これが?」
あたしは無表情で聞いた。
「わかんねぇのかよ!!」
氷真は信じられないといった感じであたしに詰めよってきた。
「きっとこれは誰かが殺されて、犯人がその死体を担いで運んだ痕跡なんだ。」
氷真は顎に手をあてて名探偵がしていそうなポーズをとりながら言った。
「でもよ、どうして担いで運んだってわかるんだ?」
あたしも思っていたことを紫音が聞いてくれた。
「よくぞ聞いてくれた、小林少年!!」
氷真は待ってましたと言うふうに大声を出した。