風神I
「だからあんたはさっさと消えてよね。」
女はそう言って手を離すと周りのやつらを連れて出ていった。
あたしは体を起こして壁に寄りかかる。
「はぁ、」
痛む体をかばいながらそっと立ち上がる。
はやく行かないとみんなに怪しまれる。
あたしはゆっくりと教室から出て屋上に向かった。
向かっている間、あたしの頭の中には女が言った、真梨亜という人物がちらついていた。
密かに痛んだ胸の痛みに気づかないふりをしながら、
そして何もなかったかのように振る舞うために真梨亜という人を頭から消す。
深呼吸を一回してあたしは屋上のドアを開けた。