風神I
「悪かったわね。ちっちゃくて。」
あたしはできる限り苛立ちが顏に出ないように、そしてちっちゃくてを強調して言った。
それなのに、この男には嫌味は通じないらしい。
「嫌々、大丈夫。なんならこれから俺がおっきくしてやろうか?」
「黙れ変態。お前といる方が危険だ。」
今すぐその綺麗な顏にパンチを喰らわせてやりたい。
「あはは、冗談だよ。」
馨は笑いながら言った。
冗談に聞こえないんだよ!この色気ムンムン男が!!
こんなやつと話してると時間の無駄だ。
あたしはまだ笑っている馨をそのままにして進もうとした。