風神I
「ほら!迎えきた。」
馨が高級車の方を向いて言った。
ヤッパリあれのことか…
馨って金持ちなのか?
「なんで高級車なの?」
「あぁ、先輩がくれたんだよ。」
誰だよ先輩って。
馨は高級車の方に顏を向けた。
今だ!!
そう思ったあたしは、素早く馨の横を通り抜けた。
「あっっっ!!」
不意をつかれた馨は慌ててあたしを捕まえようとしたがもう遅い。
「じゃぁね、馨。」
あたしはそう言うと高級車とは反対側へ駆け出した。
「お、おい!!真城!!」
後ろで馨が呼ぶ声が聞こえたがここで止まるようなやつはいない。