BLUE HEARTS

昼休み終了間際。俺は屋上の定位置にあぐらをかき、三種の神器を用意する。

水曜の5限目、一年C組は体育。よって着替える。俺はその瞬間を逃さない。

購買で買ったあんぱんと牛乳。弁当なんてナンセンスだ。両手がふさがるからな。執念深さが違うのさ。

俺はプロだ。


「伊藤玲奈。ピンクっと」


またメモ帳に記される名前と色。また。また。また。

しかし孤独な戦いも、とある一言によって崩された。

「何やってるの」

その声は確かにそう言った。

脳裏に浮かんだのは鬼塚あきらだった。でも声質が違う。もっとこう、品のある声だ。

俺は双眼鏡を股の下に隠し、首だけを右に回す。


「ねえ春海君。何やってるの?」


門脇優花。そこにいたのは彼女だった。


「や、やあ」


やあ。だなんてよく出たもんさ。


「あ、まさか覗き?どれどれ、私にも見せてよ」


そう言って俺の股から双眼鏡を奪い、校舎を覗く。

そんな中、俺の視線はある一点に釘付けになっていた。

細い太ももの間から見える、門脇の下着。

それも大々的にだ。そりゃそうだろ。それだけ股広げればさ。

どういうつもりだ…───?


「うわ、凄い、丸見えだね」

「…ああ、確かに」

「ん?」

「あ、いや、何でもない」

「いつもこんな事してんの。春海君って、変わってるよね」


もう一度言う。
どういうつもりだ。

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