君のためにできること
歌舞伎町での僕の呼び名は…
如月 光成(キサラギ ミツナリ)。
俗に言う源氏名ってやつだ。
――光成――
皮肉にも、僕は名前に光をつけることで輝きを得ようとしていたんだ。
その偽りの光は、次第に輝き始めたのだがしょせんは偽りから生まれた輝きにすぎなかった。
彼女はことが終わると僕にそっと30万が入った封筒を手渡した。
中をみるなり僕は驚きを隠せなかった。
「こんなに…さすがに悪いよ…」
「今日だけの分じゃないわ。光成…そのお金で1週間。私は貴方を買ったのよ…寂しくなったらまた連絡するから…貴方は何があってもかならず来るの…わかった?」
ゆうこさんの口角は少し上に上がって笑っているようにみえたが、哀しい瞳をしていた。ゆうこさんは、もちろん知っていた。初めはまだ残る体中の痣や腕の注射針の痕を見られるのをためらって、服を脱ぐことを拒否したんだけど、僕の穢れていた部分を全て受け止めてくれたので…いや実際は、あまりにもセックスが上手かったので欲情してしまって思わず脱いでしまった部分も隠しきれないけど、そんなゆうこさんになら知られても大丈夫だと決めつけていた。
実際ゆうこさんは、何も問い詰めてこなかった。全てをわかった上で、僕に金を渡してくれたのだ。