君のためにできること
第十章
ねぇ、萌香…

やっぱりセックスって偉大だよね。

人類がどんなに科学を発達させようとも、恋愛の絶頂だけは、原始時代と今を比べても何一つ変わりはないんだ。

愛し合い、互い求め合って、絡み合い、そして一つになる。それほど、セックスとは偉大なものなんだ。

君と2回目に繋がった時が今後、君と数回交わすどのセックスよりも一番よかったんだ。


真面目な話…本当に君とのセックスで僕は救われた…



歌舞伎町の路地裏から、ふらふらになりながらも立ち上がり、まさに藁にも縋る思いで君に助けを求めに行ったんだ。そこには君の姿があった。

彼女の事務所はご丁寧に薬物を抜く手立てをメモにして僕に託していた。
結局のところ、早くそのメモを君に渡していれば君を傷付けることもなかったに違いないのに愚かで弱い僕は、ドラッグの猛威に勝ることが直ぐにはできなかったのだ。
心が弱い僕はそのメモをずっと隠し持っていたんだ。残る正常の理性だけで処分することだけはしなかった。


< 121 / 135 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop