君のためにできること

「もう今更どうでもいい…もう終わったんだ…」

僕は、その先彼に投げかける言葉が見つからず、戸惑っていると彼は続けていう。

「僕は萌香を愛していた。そして萌香も僕を愛していたはずなんだ…」

彼の言っていることは正しいと思った。それは君と一緒にいればこそ誰もがそう確信できる。きっと彼は君を愛しすぎて傷つけてしまったんだろう。

君と付き合うことで僕は恋愛とは互いにレーザービームを撃ち合っているようなものだと深く認識したんだ。強すぎる愛は相手を傷つけ、また片方の光線のベクトルが少しでもずれると互いに傷つけ合ってしまう。

しかし、今、彼にそのことを告げても火に油を注ぐようなものだ。
彼に非がないと思い、僕はただただ彼の僕に対する罵倒に耐え続けた。

結局のところ不安だったんだと思う。僕にとって君からの愛を失うことが一番恐れていたことなんだ。

愛って不思議だよね。愛されていることはまさに至福のときだ。しかしその反面、その愛がないと生きてはいけなくなってしまう自分に不安感を抱いてしまうこともある。愛は自らを強くも、弱くもする。


彼から事情を聞き、心から安心した。