君のためにできること

「ベースはね、バンドにとってすごく重要なんだよ。音の雰囲気を決める重要な役割を持ってるんだ。曲のリズムもこのベースが決めてになるんだよ。」

僕は、ベースのことなんてそっちのけで、ベースのことを得意げに話す彼女の顔をみていた。

「因みに、ギターの弦は6本、ベースは4本なんだ…これが一番わかりやすいだろ。」

クラスのみんなが知らない彼女の顔。僕にはとても輝かしくみえたんだ。
彼女は僕がちゃんと聞いていないことに気がつき僕のほうを向く。

「おぃ!ちゃんと聞いてんのかよ。」

「い…、言ってることが難しくて全然わかんないんだよ。」

僕は、半分正解の嘘をついた。彼女に怪しまれたくなかったからだ。

「そっか…難しく言い過ぎたな。シロートにはわかんないか。」

また彼女は得意げな顔をする。

「なぁー、ベース弾いてみる?今あたしはベース練習してるけど、メインはギターとヴォーカルなんだ。」

僕は彼女のことばに驚いた。
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