君のためにできること
クラスの中では僕も少しずつだか他の連中と話すようになっていた。

しかし相変わらず彼女はクラスでは一人孤立していた。
それを悟っていたのか彼女は僕に話しかけることもしないし、僕も話しかけることはなかった。
したがってベースの練習時間は自然と昼休みとなる。

屋上からは、僕のへんてこなベース音が響きわたる。


「ぜんぜんだめじゃん!ちゃんと練習してる?」


彼女は、困り果てた様子で僕をみてそう言った。


「しかたねーだろ、ベース貸してくれないんだもん。ここだけで練習しても上手くできないよ。」


練習方法がないわけじゃなかったがやらなかったことも事実だから、あんまり強く言えなかった僕。


「しかたないでしょバンドの練習に使うんだもん。それにベースなくてもイメージでもできるでしょ?見た感じそれすらやってないって感じだったよ。」


図星だった。家で練習する時間もあったが僕にはそこまでしようと思わなかったんだ。先も話した通り彼女との接点を作りたかっただけだから。

そんな困った僕の顔をみた彼女は続けざまに言う。


「やる気ないじゃない。そんなんじゃいつまでたってもステージに立てないよ。」


「いや・・・立つ気ねぇーし」


いつの間にかステージに立つような話になっていたが、僕にはできるわけがないって思い、ふてくされるように僕は言った。


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