君のためにできること
「それじゃぁ練習している意味ないじゃん。そぅだなぁー…じゃ今度のライブ小宮山招待してやるよ。あたしのステージみたら気が変わるんじゃない。」
「ライブねぇー…暇があったら行ってやるよ。」
正直前から興味があった。
ステージではどんな顔をするのだろうか。
どんな歌声なのだろうか。
だが、そんなこと悟られたくなかったから僕はふっきらぼうにそう答えた。
「何!?そのやる気のなさは…いやならいいよ!別に!!」
このままだとまずいと思った僕は慌てて言い直した。
「い、行くよ行く。楽しみだなぁー…失敗とかみれるかも」
なんでこの時の僕はこうも素直になれなかったんだろう。
思春期の真っただ中だったからかな。
彼女に悟られるのが怖かったのか、悟られないように憎まれ口をたたく。
そこで僕にとってはタイミングがいいぐあいに始業のチャイムがなった。
彼女は、僕が手に持っているベースを奪い取り、片づけながら言う。