君のためにできること
周りはいつの間にか人数を増して、みんな前の方に行く。

僕も彼女を見る為に前のほうへむかった。

どうやら僕みたいに、彼女たち「Rose」が目的で来た人がいっぱいいるようだ。

歓声が上がりステージに目をやると、普段笑顔を見せない彼女の笑顔がそこにはあった。

「rose」

ヴォーカルギター、ベース、ドラムのスリーピースロックバンド。
ヴォーカルギターは彼女。
そして、ベースとドラムは男性だった。

準備が整った合図に重低音のベースが鳴り響く。

脳が直接刺激されるような響き。
これも初めての体験だった。

その響きだけだとすごく不快な感じ、はじめは気持ち悪くなってしまったが、しだいに心臓の鼓動とリズムが合ってきたのか、苦痛に感じることもなくなってきた。

そして彼女の歌声。

あの透き通るような声にさらに力強さをと荒々しさが加わり、
ハードな曲調にとても合っていて聴いているこちらも心を躍らせてくれる。
さらにパフォーマンスもしっかりとしていて、

ステージの上ではあきらかに彼女はスターになっていた。



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