君のためにできること
あの年の夏は近年まれにみる猛暑だった。
自転車で通学するだけでもう既に白いYシャツは汗でびっしょり濡れてしまう。
そして、中学生活…いや高校生活も含めても最も努力して頑張った年でもある。勉強は全くする気もなかったが、親がうるさくなってきたので、学習塾に通うようになった。部活動も疎かにできない。そして何より、彼女との【rose】としての活動も疎かにできなかったのだ。
春頃初めて触り奏でたヘンテコなベースも、彼女との猛特訓のおかげで幾分かは聴けるようになってきた。まさに寝る暇もないと言うのはこのことだと思った。
彼女と同じで僕も専ら授業中が睡眠時間。腕がマクラ代わりになっていた。