君のためにできること
「…なんかありがとう。」
「まぁ、よくできたよ。今度の日曜日。その日が本番前、最後のスタジオ練習だから、そのときは完璧によろしくね。」
単純だが僕はその言葉で一気にやる気を取り戻した。
「わかった。ちゃんとステージでは華蓮のサポートできなきゃな。」
「ステージの上でミスったらジュースおごりだけじゃすまないからねー」
「ハイ、わかってます。」
僕は片手を上げて誓いのポーズをとった。本気で彼女を支えようと思ってた。
「じゃーおごれ!」
「りょーかい、コーラでいいね。」
彼女はらしいと言えばらしいコーラが好きだった。
はじけ飛ぶ炭酸の泡が彼女の元気さと同調している気がする。
学校でもその生き生きとした顔すればいいのにと何度も言ったが、やっぱりクラスに居る時は、どこか陰を持っていた。
本音をきいたらどうやら、素の自分を今さら出すのが恥かしくなってしまったようだ。