君のためにできること

8月22日、夏休み終り頃。彼女の誕生日だ。


その日に僕たちは初めてキスをした。
僕にとっても彼女にとっても初めてのキス。

塾の夏期講習の帰り、いつもの公園で、誕生日なのに何も用意できなかった僕は冗談交じりに言ったんだ。


「ごめん、華蓮…」


「ほんとだよね。彼女の誕生日なのにプレゼントも用意できないなんて…まぁ、ドジな岳らしいかな。」


「忘れてたわけじゃないんだ。ほんとに…その…」


「はいはい…わかってるよ。気持ちだけで十分だよ。」


彼女は察していた。


「ほんと…ごめん…」


「ったくー!あやまってばっかじゃん!」


全くだ。
僕は、やるせない気持ちになり、そんな気持ちを抑えたいあまり、
僕は突然彼女を抱きしめた。



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